この家は、慶尚北道(月城郡)江東面の良洞里にあった民家を復元したものです。実際に書堂(ソダン)として使われていたとされています。
書堂とは、現代の小学校に相当する朝鮮時代の児童教育機関です。朝鮮時代の教育制度では、中央に成均館があり、地方には郷校が設置されていました。
また、私立の教育機関として書院があり、それよりも小規模なものが書堂でした。
書堂では『千字文』『童蒙先習』『啓蒙編』などを教科書として学び、身の回りを清潔に保つ方法や、年長者に対する礼儀作法なども教えられました。
毎月の初日と十五日には「講(カン)を受ける」と言って試験が行われ、成績が最も優秀な学生は「状元(チャンウォン)」と呼ばれ、その学生の家では餅やお酒を用意して先生や他の生徒をもてなしました。
この家屋は、南部地方特有の一(―)字型の瓦葺き家屋と草葺き家屋2棟をL字型(ㄱ字型)に配置した構造です。
母屋の中央には一間の板の間があり、それに続く形で2つのオンドル部屋が設けられ、空間に変化をもたらしています。下屋にも両側に板の間の部屋が2つあり、多くの人が利用できるようになっています。